年金は本当にもらえるのか?

鈴木亘著「年金は本当にもらえるのか?」(ちくま新書)を読みました。

経済学者であり学習院大学の教授を務められている鈴木亘氏は、

本書にて統計学的なデータを用いて年金制度の問題についてわかりやすく述べられています。

 

年金関連の本は難解な専門用語が多く、

読むのに疲れてしまうという印象でしたが、

この本はそんな私たち❝シロウト❞に向けて書かれている易しい本であり

とても読みやすかったです。

 

年金は本当にもらえるのか? (ちくま新書)

年金は本当にもらえるのか? (ちくま新書)

 

 

ここでさっそく衝撃的なデータを!!

こちらは、本書の中に載っていた「公的年金の世代別損得計算」の表です。

左側が生まれ年、右側は払った年金額に対するもらえる年金額のプラスマイナスを示しています。(▲はマイナスという意味です。)

これを見ると、なんと1955年~1960年生まれを境に自分が払った額に対するもらえる額はマイナスとなっています!

つまり、年金制度が得だと言えるのは1960年生まれまでの方々のみということ。

 

「ガ―――ン!!!今こんなにお給料から厚生年金保険料引かれて手取りが減ってるのに、それが将来もらえる訳じゃないの?!」

って泣きたくなる人も多いのではないかと。。。(少なくとも私は泣きたくなりました。)

 

でもこれって、よくよく考えれば仕方のないことです。

なぜなら年金というのはあくまでも❝人口が増える前提で作られた制度❞だから。

 

少し難しい話になりますが、

日本の年金制度は

❝自分の積み立てた金額を自分で老後に受け取る❞という『積み立て方式』ではなく、

❝今の現役世代が支払った保険料を今の高齢者が年金として受け取る❞という『賦課(ふか)方式』という制度になっています。

 

つまり、今私たちが納めている年金保険料は

今の高齢者世代へそのまま支払われています。

 

ということは、現役世代の減少=年金額の減少となってしまうわけです。

 

年金制度ができた当初は

もっともっと日本の人口は増え続け、

年金の担い手には困らないという明るい未来が訪れる前提だったのですね。

 

さて、「年金は本当にもらえるのか?」という本書の題名に対する結論ですが、

理論的には「このまま少子高齢化が進んだとしても、高齢者への年金給付額をカットして現役世代の年金保険料を増額すれば、年金制度自体は破たんしないよ。」と言えるのですが、、、

それってつまり、

「今のままの年金制度がこの先も続いていくとすれば、私たちが高齢者になったときにはほとんど年金はもらえないし、私たちの子どもや孫世代は重たい年金保険料に苦しむ時代になってくるよ。

ってことなんですよね。

 

これに対する私の結論としては、

「年金はほとんどもらえないものとして考えて、今のうちから自分の将来(老後)に対する備えをしっかりとしておくべき!

ということ。

 

年金(=国)や退職金(=会社)に自分の老後の全てを頼るのではなくて、

基本的な考え方として、

自分の身は自分で守る!

これに尽きると思います。

 

これは私たちのセミナーでも、一貫してお伝えしている大事なテーマの一つです。

 

そのために必要となる知識について、

今のうちから勉強しておくことって

とても大事だと思っています。